中国における神経病理学会の概略

中国に戻ってから早くも9ヶ月が経ちました。ここで、私の知っている中国での神経病理学会の実情、そして少人数ですけど頑張っている先生方を紹介させていただきます。

こちらでは、“中華医学会神経病学分会”に所属する一つのグループとしての“神経病理学組”があります。まだ若い学会で、その創立は1985年となり、初代組長はわが国の“神経病理の父親”とも呼ばれるべし黄克維教授(1907年-1996年)で、彼は多くの弟子を育てられ、その方々は今全国範囲で活躍しておられるそうです。二代目の組長は徐慶中教授で、私の所属する首都医科大学宣武病院の病理科で神経病理とくに脳腫瘍を重点に診断・研究してこられました。現組長は黄克維教授の初弟子の王魯寧教授が勤められています。王教授は中国人民解放軍総病院の神経内科の主任教授で、今年から「Neuropathology」のreviewerになられた女性の方です。理事が13人おられ、北京以外、長春、天津、重慶、上海、長沙、西安ならびに広州等から選ばれた専門家たちです。

この学会のおもなイベントとして、3年に一度の“総会”を開催しています。今年で、ちょうど学会創立20年の記念当たりますが、四月湖南省長沙市で“第9回神経病理学術検討会”を開くこととなっています。おおよそ140-150の演題が出題され、日本からも3人の教授が招かれ講演なさる予定です。もう一つ大きいイベントとして、毎月“北京市の神経科臨床病理検討会(CPC)”および“北京市神経病理標本検討会”が一回ずつ開かれます。CPCは毎月2例、北京市の大型病院より順番に出されています。おおよそ400-500人参加され、活発なディスカッションが行われ、神経科臨床医たちのよき勉強場となっています。ここで、腫瘍、炎症、変性疾患、脱髄、脳血管障害ならび末梢神経と筋肉の剖検あるいは生検の症例が年間24例出題されます。その中、剖検例はおおよそ5割弱を占めて、剖検が取れにくい状況を思わせる一方、こつこつと地味に頑張っている先生方の姿も思い浮かびます。2003年10月には創立25周年のイベントが開かれ、私の恩師の高橋均教授も出席なさって下さいました。

“北京市神経病理標本検討会”は10人同時に検鏡できる顕微鏡の前に形態学に興味ある先生方が集まり、稀な症例、難しい症例を出し合って、大いにディスカッションします。私もいつも毎月のCPCと標本検討会を待ち望んでおります。なぜといえば、いつも勉強になることと、神経病理の先輩ならびに仲間だちと臨床病理診断を楽しむ貴重な時間であるからです。以上のように剖検が厳しい状況の中、小人数ですけど楽しくし頑張っています。

幸い、来る5月に中野今治会長と橋詰良夫教授のご好意により日本神経病理総会・東アジア友好ワークショップに、北京から6人上海からは2人と計8人の先生が参加させていただくこととなっています。その際に、日・中・韓の神経病理の先生たちで楽しく交流・懇談し、有意義な集まりになることをこころから願いながら、ご報告を終わらせていただきます。


2005年3月8日
首都医科大学宣武病院 病理科
朴 月善

中華医学会第八回全国神経病理学術会議へ