日本神経病理学会編「神経病理学用語集」について
I. 編集方針
- 本用語集には神経病理学領域で使用される用語を収載した。機関誌(Neuropathology) を基準とし、その他の神経病理学系雑誌および図書を参考にして用語を選定した。さらに関連領域である、神経解剖学、神経精神医学、脳神経外科学、臨床神経学、神経化学、神経生理学などの領域からも関連のある用語を採用した。
- 欧語は英語(米語)を主体とした。ラテン語、ドイツ語、フランス語も重要な用語および慣例的に使用されている用語は採用した。
- 見出し語の品詞は原則として名詞とし、形容詞や動詞などは特別なもののみに限定した。
- 人名は病名や症候群の付いたものに限定した。人名に由来した語 (eponym) は頭文字を小文字として採用した。
- 人名詞所有格 (~'s) については、すべて ('s) を省略した形式とした。
- 原則として単数形を用い、mitochondria など通常複数形が使用されているものは複数形とした。
- 見出し語の配列は、欧語(アルファベット順)、邦語(五十音順)とした。
- 薬品名、化学物質名、病原体名 (細菌、ウイルス、寄生虫など) は、とくに重要なものを除き、原則として採用しなかった。
- 本来theを冠すべき場合でも、これを省略した。
- 語尾のみ変化した用語は慣用度の高いものを見出しとし、低いものは ( ) に入れて示した。
Ex. anencephaly (-ia)
- 11.関連学会の用語集との整合性をとることに努めた。特に「神経学用語集」、「脳神経外科学用語集」に配慮をした。
II. 訳語について
- 基本的には日本医学会医学用語委員会編「医学用語辞典」に準じた。
- 各専門学会の訳語が上記と異なる場合は、専門学会のものを優先とした。
- 訳出の原則は「原義に忠実」であるが、本質を捉えた意訳や慣用も重視した。
- 訳語は原則として日本語とした。ただし、カタカナがより普遍的な場合は、カタカナを採用し、日本語訳を併記した。
- 訳語はなるべく一語に絞った。しかし無理がある場合は、複数の訳語を併記した。
- 送り仮名はなるべく少なくした。
- 形容詞の「性」、「的」、「状」、「の」などについては、冗長になる場合は省く方針とした。「性」の使用基準は神経学会の基準に準拠した。
- 前置語が名詞である場合は原則として「性」を省略した。
- 形容詞の場合、病因を表わす場合は「性」をつけた。
- 「性」を入れずに慣用されているものはそれに従った。
- 用語が英語(欧語)で一語からなるものは「性」を入れなかった。
- 欧語2つをハイフンで結んだ用語は「性」を入れなかった。
- 読みの原則は音読みとした。
III. 凡例
- ( )
1) 見出し語については、前置の文字を ( ) 内の文字に置換できることを示す。
2) 略語
- [ ] 省略が可能であることを示す。
- 〈 〉
1) 英語以外の欧語を表す。
〈F〉→フランス語
〈G〉→ドイツ語
2) 形容詞を表す。
〈adj〉→形容詞
- 〔 〕難読漢字および紛らわしい漢字の読みを示す。
- { } 註釈を示す。
- = 同義語を示す。
IV. 参考資料等
- 本医学会医学用語管理委員会編: 日本医学会医学用語辞典: 和英, 南山堂, 東京, 1994
- 日本医学会医学用語管理委員会編: 日本医学会医学用語辞典: 英和,第3版, 南山堂, 東京, 2007
- 文部科学省編: 学術用語集: 医学編, 日本学術振興会/丸善 (発売), 東京, 1997
- 日本神経学会用語委員会編: 神経学用語集, 改訂第2版, 文光堂, 東京, 1993
- 日本脳神経外科学会用語委員会編: 脳神経外科学用語集, 南江堂, 東京, 1995
- 日本老年医学会編: 老年医学用語集, 社団法人日本老年医学会, 東京, 2001
- 日本解剖学会編: 解剖学用語,第12版.丸善,東京,1987
- 飯島宗一, 他 編: 現代病理学大系, 中山書店, 東京, 1984-1996
- 朝長正徳, 桶田理喜編: 神経病理学: 基礎と臨床, 朝倉書店, 東京, 1992
- 脳腫瘍全国統計委員会, 日本病理学会編: 脳腫瘍取扱い規約第2版, 金原出版,東京, 2002
- 日本病理学会小児腫瘍組織分類委員会編: 小児腫瘍組織分類図譜 第6篇 中枢神経系腫瘍, 金原出版, 東京, 2001
- 日本脳腫瘍病理学会編: 脳腫瘍臨床病理カラーアトラス 第2版, 医学書院, 東京, 1999
- 平野朝雄, 冨安斉: 神経病理学を学ぶ人のために 第4版, 医学書院, 東京, 2003
- 小柳新策: 電子顕微鏡による神経病理学のすすめ, 医学書院, 東京, 1992
- 水谷俊雄: 神経病理診断アトラス, 文光堂, 東京, 1992
- 山浦晶, 他編: 標準脳神経外科学 第10版, 医学書院, 東京, 2005
- 伊藤正男, 他編: 医学大辞典, 医学書院, 東京, 2003
- Graham DI, Lantos PL eds: Greenfield's Neuropathology, 7th ed, Arnold, London, 2002
- Dorland's Illustrated Medical Dictionary, 31th ed, W.B.Saunders, Philadelphia; London, 2007
V. 査読者、編集協力者
新井 公人, 伊井 邦雄, 出雲 周二, 井関 充及, 伊東 恭子, 伊東 秀文, 伊藤 雅之,
入谷 修司, 岩城 徹, 内原 俊記, 馬原 孝彦, 衞藤 光明, 大原 慎司, 岡本 幸市,
女屋 光基, 尾野 精一, 小柳 清光, 加藤 信介, 加藤 雄司, 神田 隆, 岸川 正大,
葛原 茂樹, 久保田 紀彦, 黒岩 俊彦, 小島 英明, 後藤 正道, 小林 克治, 小森 隆司,
佐々木 惇, 澤田 達男, 島田 厚良, 新宅 雅幸, 高尾 昌樹, 武田 茂樹, 中野 今治,
中村 仁志夫, 中村 光利, 西岡 宏, 西中 哲也, 布村 明彦, 長谷川 一子, 林 雅晴,
平戸 純子, 福田 隆浩, 伏木 信次, 堀 映, 松岡 幸彦, 松原 四郎, 松本 陽, 水口 雅,
水澤 英洋, 水谷 智彦, 宮田 元, 望月 葉子, 森 秀生, 山崎 峰雄, 山田 英二,
山田 正仁, 山田 光則, 若林 孝一, 鷲山 和雄
VI. 日本神経病理学会用語委員会委員
新井信隆、伊東恭子、神田 隆、澁谷 誠、島田厚良、水口 雅(委員長)
連絡先:日本神経病理学会事務局
〒169-0072 東京都新宿区大久保2丁目4番地12号 新宿ラムダックスビル
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